睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠中に何らかの原因によって一時的に呼吸が止まる、もしくは低呼吸状態になることで、様々な症状が現れている状態を睡眠時無呼吸症候群(SAS:sleep apnea syndrome)と言います。
なおSASの診断基準ですが、これは睡眠中の60分間に10秒以上の呼吸停止が5回以上、あるいは換気量50%以下とされる10秒以上の低呼吸状態が5回以上ある場合としています。睡眠中であったとしてもこのような無呼吸あるいは低呼吸というのは、酸欠状態に陥ってしまっていることでもあるので熟睡を得るのは難しく、それによって日中に激しい眠気に襲われる、疲労感、集中力低下、頭痛といった症状が現れ、いびきや不眠、睡眠中に目が覚めてしまうといったこともみられるようになります。さらに酸欠状態というのは、脳や心臓といった臓器にも負担をかけやすくなることから高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症する可能性を高めるようになります。
なおSAS発症の原因は2つあります。ひとつは、何かしらの原因で空気の通り道である気道が閉塞されてしまうことで発症する閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)です。閉塞の原因は、肥満によって首回りに脂肪がつきすぎている、舌が大きい、顎が小さい、扁桃や口蓋垂の肥大化といったものが挙げられますが、肥満による閉塞が最も多いです。
もうひとつが中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)です。これは脳血管障害(脳梗塞、脳出血 等)などの疾患によって、脳から呼吸命令が出されないことで無呼吸状態となるタイプで、この場合は気道が閉塞していませんので、いびきは出ません。ちなみに全SAS患者さんの9割程度がOSAによるものと言われています。
検査について
OSA によるSASが疑われる場合、まず簡易型検査装置を使った検査を行っていきます。これは同装置に付いている手の指や鼻の下にセンサーを装着して眠りにつくという簡単なものなので、自宅で検査するケースが多いです。酸素飽和度を調べるなどすることで判定していきます。その結果、SASの可能性が高ければ、医療機関に入院しての詳細な検査をし、診断をつけていきます。
治療について
気道が閉塞することが原因(OSA)のSASの場合、大半の患者さんはCPAPによる治療となります。これは人工呼吸器装置を使用するものですが、同装置は圧力が加わった空気を鼻から閉塞している気道へ送り込めるようになります。これによって呼吸停止状態が改善されるようになるのですが、使用方法も簡単で同装置に付いている鼻マスクを装着して眠りにつくだけです。装着中は常に上気道に対して圧力が加わった空気が入り込むので気道の閉塞は解消されるので、鼻呼吸による睡眠ができるようになります。これによって、いびきも治まるようになります。
またCPAPを使用している間は定期的に通院が必要で、医師に状況を報告してください。このほか肥満が原因の場合は、生活習慣の改善もしていきます。なおCSAが原因のSASの場合は、原疾患の治療によって症状が改善することが多いです。